2009年3月12日木曜日

カナダおもしろ日記 ☆ 3 ☆ 同じ屋根の仲間たち

一台のタクシーが向かってきた。幸運ここにあり!さっそく手をあげて停める。チャビーなドライバーがあっという間にスーツケースをトランクへ入れてくれた。リュックはそのまま前に抱えてタクシーに乗る。番地が書いてあるメモをそのドライバーへ渡すと微笑みながら「2,3分で着くよ」と言う。タクシーでドキドキのノースバンクーバー キース通りを北上していく。車が止まったところは20メートルはある長方三角形の屋根に煙突があり、4つの長方形の窓が正しい位置に配置されている。全開するには二人の両手が必要な玄関のドア。重いそのドアを叩く。開いたドアの向こうには笑顔の老人ルイスLuisと奥さまのカルメンCarmen。
重い重いスーツケースを引きずらないように持って家の中に入ろうとしたがカヨワイ私にはなかなか持ち上がらない。と、カルメンが「ポール!Paul」と叫ぶ。出てきたのはどう見てもポールPaulらしからぬアジアの顔。スーツケースを持って私の部屋まで運んでくれた青年は台湾人のポールPaul。なかなかの好青年。かつての吉田栄作のようなサラサラヘアーを一定の時間がくると首だけで上へ押し上げる。女性の声で背後からHelloといわれる。振り返ると知的な女性。「I amクリスChris. Nice to meet you! 」ニキビで顔が赤くなっているのが一層彼女を若く見せるのだろうか、しゃべると繊細で秀才の中学生にも見える。おお、二人も既にステイしている人が居たんだあ。それに同じアジア同士でうれしいわ。カルメンCarmenに案内されるまま地下に下りて私の部屋へ入る。地下の部屋は少し湿っていたが綺麗に掃除されている。まずはテレビの電源を入れてみる。スタンドのスイッチを入れる。洋服を下げてからはベッドに横になってボーっとする。ここまで遠かったなあ。しばらくして部屋から出てバスルームのチェック。すると若い男の声がした。「Hey, I am アントニオAntonio, from Brazil」あら、まだいたの?振り向くと陽気なブラジリアンはニコニコしながら私の部屋方まで一緒についてくる。私が新人なのを良いことにちゃっかり部屋に入り込む魂胆か?ニャロメ!大和なでしこをなめるなよ~。ここは毅然としなくては!しかしなんてこたあない。彼は私の部屋を左に折れて手を振りながら笑顔を見せながら後ろ向きに歩いて行った。そっちにもドアがあったの?そしてお隣がこの陽気でハンサムで若いブラジリアン?ボサノバは大好きだけど、この陽気なノリで毎日パーティじゃあちょっとやだなあ。(いらぬ狸のなんとやら。私は必ずや誘われる気でいる)。4人の学生は男2、女2でバランスが好い。もちろん長老は私だろう。アドバンテージは女にありって事で丁度いいじゃん?何が?わたしゃ何しに来たのだっけ?

台湾の栄ちゃんことPaulとまじめで典型的な韓国人顔の知的Chrisと一緒に到着早々まずは近くの図書館へ行こうと誘われた。う~ん、すっかり学生気分♪30代後半の私には新鮮。これって悪くないわね。出来ない英語を駆使して話す。Chrisの英語は完璧。将来は英語の先生になりたいという彼女は、「私の英語は未熟。こんなに英語を勉強してきているのに・・・」とよく嘆く。私のような勉強嫌いの人間には尊敬できる願ってもない同居人だ。5時には既に真っ暗だ。その暗さは電灯やネオンのある東京とは比にならない。こちらは星と月明かりがなければあとは野生の感にたよって歩くしかない。図書館を早々に切り上げ大きな家に戻る。ビュッフェ形式の夕飯だ。ホストマザーのカルメンCarmenはご飯とおかずにワンタンスープを作ってくれていた。今日は3人でご飯を食べる。嬉しい事に食卓にはキッコーマンの醤油がある。お醤油と言えば甘くとろみのついた中国醤油も売っているが、やはり私はサラッとした日本の紫に限る。栄ちゃんPaulは本当に世話好きだ。私と同じ学校に通っているとの事で、夕飯のお皿の場所から学校の先生の噂話まで事細かに教えてくれる。明日は私と一緒に学校でランチをしてくれて台湾の友達を紹介してくれると言う。うーん。感激。彼は良い奥さんになりそうだ。

食後、おっさんが突然現れる。誰このおっさん。眉毛が太くて濃い。シルクロードならぬ眉毛ロードは間もなく右と左が貫通し、開通の日が近そうだ。そしてひげも頭も恵まれすぎ。愛嬌がある顔でプーさんを連想させる。Paulがそのおっさんプーさんとニコニコと話し始める。彼が私の横に歩み寄り「ホアンJoan」 と小さい声でいう。確かにホアンと聞こえた。保安?ああ、保安のおじさん?この家でっかいもんねえ。「Hello, I am ホアンJoan, Nice to meet you」 彼は私と同じ学校だという。なんと歳は16歳。シックスティーンは似た単語がないから聞き間違えてないはず。へえ~。このおっさんは、ふっけてんなあ。日本だったら46に見えるわ。彼はメキシコから来てバンクーバーには1年滞在する予定とのこと。しゃべる時は子供のように口を尖らせてモジモジしゃべる。少し顔を赤らめている。う~ん。肌のハリツヤはやっぱり16歳だ。

ってことは韓国、台湾、ブラジル、メキシコ、そして日本。サッカーの話でもしたら盛り上がりそう!今日はブラジリアンのアントニオは姿を見せなかったが、食後のおしゃべりタイムに彼もジョインしたらハチャメチャになりそうだ。